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犯罪原因論


犯罪にかかわるニュースでは、「動機の解明」という言葉がきわめてしばしば使われます。
犯罪者はなんらかの動機や原因から犯行に及んだ、と考えるのが犯罪原因論です。

犯罪の原因として、犯罪者の精神障害や知能などを検討する場合もあれば、生い立ちや家庭環境、職場での問題や、格差・差別などの社会問題を持ち出すこともあります。
犯罪者の個人的特性や環境や社会構造などのさまざまな要素要因から、犯罪の原因を探し出そうとします。
犯罪者という「人」に注目して、犯罪の原因を探ろうとするのが犯罪原因論です。

犯罪を企てているだけの人は犯罪者ではありません。まだ犯行に及んでいないからです。

犯罪原因論に基づく防犯では、犯罪を企てている人を見分け、その人物が犯行に及ばないように予防しなければなりません。
そこで生まれて来たのが「不審者」という言葉です。
まだ犯行には及んでいないが、犯罪を実行しそうな雰囲気の人を不審者と位置づけます。

実際に犯罪を企てる人は、不審な目で見られたり注目を集めたりすることのないように、目立たない振る舞いをします。
気づかれないように犯罪を実行して逃げ切ることを、犯罪者は目論見ます。
そのために注意深く周囲に気を配るのが犯罪者ですから、犯罪を企てている人を外見だけで判断することは容易ではありません。

犯罪原因論に基づく防犯標語として、「不審者に気を付けよう」あるいは「危ないひとに気を付けよう」などが見受けられます。
人に注目して防犯することは、大人にとっても困難です。大人が基準を示せないために、子どもたちにとっての不審者像はきわめてあいまいになります。
不審者というあいまいで不確かな存在を探して、地域コミュニティの外側にいる人(ホームレス、知的障害者、外国人など)を不審者とするケースありますが、善意の人を誤解して不審者扱いしてしまう例もあります。

人に注目する犯罪原因論に基づく防犯対策は、地域社会に混乱や亀裂を招く恐れがありますので、十分に理解して指導することが必要です。

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