サイトマップ
 文字サイズ 

どこが安全? どこが危険?

地域安全マップ指導者養成プログラム

どこが安全? どこが危険?

地域安全マップ指導者養成プログラム


防犯効果のない地域安全マップの例


犯罪機会論に基づいて作成された正しい地域安全マップは、子どもの安全や地域の防犯に役立ち、子どもたちや地域に害を与えることがありません。
地域安全マップを作成しても、それが子どもや地域の防犯に役立たないものや、何かしらのマイナス作用をもたらすものであれば、それは作り方を間違えた失敗マップです。

地域安全マップの失敗例を見てみます。
いずれも、犯罪機会論に基づかない間違った作り方をした例です。

不審者マップを作ってしまう例

日本では、犯罪原因論が根強いために、地域安全マップを作る時にも犯罪原因論に影響されてしまうことがあります。その典型的なものの1つが不審者マップです。

不審者マップは、不審者が現れた場所や不審者への注意を呼び掛けるものです。地域安全マップの中に、「変な人がいた」「怪しいおじさんに声をかけられた」といった人に係わる情報が書かれていれば、それは不審者マップです。
人に係わる情報は、犯罪原因論によって持ち込まれます。

犯罪機会論に基づく地域安全マップは、「人」ではなく「場所」に注目します。
「入りやすい」「見えにくい」というキーワードを使って景色を見て、危険か安全かを判断します。
したがって地域安全マップは、不審者マップではありません。

不審者マップは、不審者を探しだそうとして差別や排除を生む可能性があります。外国人、知的障害者、ホームレスなどを不審者とする例もあり、人権侵害、地域の分断など、地域の安全にとってのマイナスとなる場合があります。

犯罪発生マップを作ってしまう例

実際に犯罪が発生した場所を示す地図が、犯罪発生マップです。

犯罪発生マップは、一見すると場所に注目したマップのように見えます。しかし実際には、犯罪を行った「人」に注目するものです。犯罪者が犯行に及んだ場所を記録したもので、犯罪原因論に基づく情報です。

地域安全マップでは「入りやすい」「見えにくい」というふたつのキーワードで場所の特性を把握しますので、過去にそこで犯罪が行なわれたかどうかは問いません。
景色解読力を養成するためには、過去の出来事などに捉えられることなく、ふたつのキーワードで景色を見ることが大切です。
景色解読力は、未来に起こるかも知れない犯罪を予測し、犯罪を回避することにつながります。

また、犯罪発生マップを作成するために、犯罪被害者に体験を尋ねたりすることは、人権侵害につながる行為です。被害者の記憶を呼び起こすことが、トラウマを悪化させることにもなります。同じように、子どもたちに犯罪被害経験の有無を尋ねたりすることも避けなければなりません。

非科学的マップを作ってしまう例

非科学的マップは、不安を感じる場所、不気味な場所、近寄りたくない場所などの情緒や雰囲気による景色の眺め方による理論的根拠のないマップです。
「入りやすい」「見えにくい」というキーワードを使いこなせずに作成されたマップです。

非科学的マップでは、そこが危険な場所であるかどうかを的確に判断することはできません。同じ場所を見ても、人によって感じ方が異なるかも知れません。
「入りやすい」「見えにくい」というキーワードを使って景色を眺めれば、共通の基準にもとづく判断ができます。その場所が危険か安全か、キーワードを使って説明することが大切です。
キーワードを使って説明できれば、他の人にも確かな情報として共有することができます。

交通安全マップを作ってしまう例

PTA等、大人だけで「地域安全マップ」を作成し、それを印刷して子どもたちに配布しても、子どもたちの被害未然防止能力の向上は望めません。
しかし、未だに多くのPTA等が大人だけで「地域安全マップ」なるものを作成し、印刷物として配布したり、学校に掲示したりしています。
その多くが「交通安全マップ」であり、交通事故が起こりやすい場所や発生場所の情報が記されています。さらに、校区や地域の安全や危険について災害の危険がある場所の情報等も全て盛り込むケースもあり、これらは情報過多であり、作成した大人の記憶には残っても、受け取った子どもたちの安全に貢献できるものとは言えません。

こうした交通安全マップは、実は一番多い間違ったマップの例でもあります。

地域安全マップは犯罪からの安全を目指すものであり、そのためのトレーニングを行うプログラムです。
学習効果を高めるためにも、防犯以外の要素は排除します。

戻る
次へ
キーワード
#トレーニング#不審者マップ#交通事故#人権侵害#失敗例#差別#排除#犯罪発生マップ#非科学的マップ