犯人の人格などに言及する「犯罪原因論」と違い、「犯罪機会論」は犯罪が起こりやすい「場所」や「状況」に着目するものです。
犯罪機会論によって犯罪抑止の要素を導き出すと、領域性・監視性・抵抗性という3つの要素が導き出されます。領域性と監視性は犯罪が起こりやすい「場所」に関する要素で、抵抗性は「人や物」に関する要素です。
犯人の人格などに言及する「犯罪原因論」と違い、「犯罪機会論」は犯罪が起こりやすい「場所」や「状況」に着目するものです。
犯罪機会論によって犯罪抑止の要素を導き出すと、領域性・監視性・抵抗性という3つの要素が導き出されます。領域性と監視性は犯罪が起こりやすい「場所」に関する要素で、抵抗性は「人や物」に関する要素です。
それぞれの要素の内容、活用の具体例を見てみましょう。
領域性とは、犯罪者が犯罪を犯しやすい場所か否か、ということです。
例えば、塀やガードレール、ゲートなどで境界や区分をはっきりさせるハード面と、地域の防犯パトロールや注意喚起の看板を設置する=犯罪者に「この地域は防犯意識が高い」と感じさせるソフト面、その両面を高めることによって、犯罪者の力が及ばない=ターゲットに接近できない領域が出来上がります。
犯罪者をターゲットに近づけないこと=犯罪者が入りにくい領域にすることによって犯罪を抑止するのが領域性です。
監視性とは、犯罪者の行動を見張り、かつ標的(ターゲット)を見守ることです。
誰でもすぐにわかるような位置に防犯カメラやライトを設置するようなハード面と、進んで挨拶をするなど、見える場所で活動が行われている地域であるということを見せることで犯罪に踏み切りづらくするソフト面。
物理的に、かつ心理的に「いつも誰かが見ている環境である」と犯罪者に感じさせること、地域住民にとっては見えやすい環境にすることによって犯罪を抑止するのが監視性です。
抵抗性は、場所に関わる環境を整えることによって犯罪を抑止する領域性・監視性と違い、「人」に対して実際に犯罪者が手を伸ばしてきた時に、それを押し返す、抵抗する力の事です。
防犯ブザーの携帯、ドアの2重ロック、自転車カゴにつける防犯カバーやネットのようなハード面と、それらのグッズを使いこなそうとする意識、リスクに関する情報収集などのソフト面があります。
犯罪に遭わないことがもっとも良いのですが、仮に遭いそうな状況でもそれを押し返す力を持つことで、最終的に犯罪を防ぐのが抵抗性です。
このような「犯罪抑止の3要素」(領域性・監視性・抵抗性)が重なるところでは、犯行の抑止や犯罪被害の未然に防止することができます。
しかし、抵抗性が発揮されるのは犯罪者に遭遇または接近されている状況下です。
犯罪者を標的(子どもや地域)に近づけないために、領域性と監視性を高める対策が最も重要です。