【解説】Aのように高い塀に囲まれた家は、犯罪をしようとしている人が家の中を見えないし入って来にくい(入りにくい)ので安全、と考えることがあります。
この場合、誰からどこが見えにくいかを考えるようにすることが必要です。
Aのように高い塀に囲まれた家からは、逆に家の中から外の様子、道路の様子を見てもらえません。だからAの家の方の歩道は見えにくい場所、危険な場所になります。
Bのように塀が低いと、家の中に居る人から外が見えやすいので、Bの家の方の歩道が安全です。窓が見えると、見られているような感じがするので、見えやすい場所になります。
夕暮れになり暗くなってきた道。街路灯があるけれども点灯している道と壊れて点灯していない道、安全に歩けるのはどっち?
【解説】
Aの方が、街路灯が点灯して明るく見えやすいので安全に思えます。
Bは街路灯が壊れていて暗いので見えづらくて危険、という結論に単純に陥りがちです。ですが、明るいと見えやすいので安全ということなら、昼間は犯罪が起こらない、昼間はどこでも安全、ということになります。
実は誘拐は午後3時半〜4時半ぐらいに最も発生しています。明るいから安全ではない、ということです。
少し角度を変えて考えてみると、この街路灯はみんなの物。
それが壊れたままで誰も気にしない、壊れているのに対応されないままというのは、この地域が町の安全や子どもの安全に関心が低いことを自ら宣伝する効果をもたらしてしまうことになります。
暗くて見えにくいから危険なのではなく、「見えるのに見えていない」から、見えにくい場所、危険な場所となります。
フェンスで囲まれた公園と塀で囲まれた公園です。安全に遊べるのはどっちの公園?
【解説】フェンスで公園の周りから公園の中が見えやすいので、Aの公園の方が安全です。
もう1点、この公園は出入口が1箇所しかなく、犯罪者には入りづらく逃げにくい公園だということです。「見えやすい」「入りづらい」というように、キーワードがふたつ揃う場所は犯罪者は苦手です。
Bの公園は、塀に囲まれて公園の中が周りから見えにくいので危険です。出入口は1箇所しかないので、逃げにくいので入りやすくはありませんから「入りづらい」というキーワードの1つは当てはまりますが、キーワードがふたつ揃ってしまうともっと危険ということになります。
不審者に気をつける、注意を払うのではなく、「場所」に気をつけることが重要です。
塀に囲まれた公園が見えにくくて危険なので、塀をフェンスに替えましたが、昼になると車が公園の周りに停められました。どちらが安全に遊べる?
【解説】
見通しの良い公園でも、周りにトラックや自動車が止まっていると公園の中が見えにくく危険な場所になります。公園のまわりに何もなければ、見通しが良く安全な公園になります。
車の中に人が居るなら何かあっても助けてもらえるので安全、と考える子どもも出てきます。キーワードに当てはめると、公園の周りに人がたくさん居て見えやすいので安全、と言うこともできます。
しかし、長時間の路上駐車をしている人は、公園の中の子どもに注目する可能性が低いと考えられます。つまり、人はたくさん居るけれども関心が低く見えにくい場所ということになり、危険な場所になります。
先の「3」項(夕暮れの道)で、壊れた街路灯がそのままで知らんぷりされているので見えにくいと同じです。
いつもは中が見えやすいフェンスで囲まれた公園でも、周囲に車が停められると見えにくい場所になってしまいます。
あくまで場所の状況を見てキーワードをモノサシのように当てはめて、その場所を判断する、という考え方が重要です。
公園に隣接して集合住宅が建てられています。どちらの公園が安全に遊べる?
【解説】
Bのように隣接する集合住宅の窓が公園を向いていると、家の中を歩いていたりしても自然に公園の中の様子を見てもらえ、見えやすい場所になります。
Aのように集合住宅の窓が公園の方に向いていないと公園の中が見えづらいので、見えにくい危険な場所になります。
どちらもベンチがあるけれども、ごみが散らかっていて、らくがきのある公園と、そうでない公園では、安全に遊べるのはどちら?
【解説】
Bの公園のように、ごみがたくさんあるということは、この公園を利用する人が多いので危険があったときに助けてもらえるから安全、と考えることがあります。
しかし皆の物であるベンチに、らくがきがされていたり、ごみが散らかったままになっていたりする場所は、その公園を使う人も近所の人も関心が低く、危険があっても見て見ぬふりをされるかもしれません。
このように秩序違反行為が放置される場所は当事者意識が低く、見えにくい場所であり危険な場所となります。
このような場所での犯罪者は、たとえ犯行を見られても通報されない可能性も考えられます。