マップはフリーハンドで作成します。地図としての縮尺や正確さにはこだわりません。道路や河川を描き、目印になる建物や公園などを描いて、おおまかなマップを作ります。
公共の建物(学校やコミュニティセンター、駅、公園名)は記載してもいいですが、個人所有の建物などの固有名詞は記入しないよう指導します。
フリーハンドで描く地図は、世界でたったひとつの地図です。子どもたちには、かけがえのない作品になります。
白地図を拡大コピーしたものを使ってしまうと、マップ作成が単なる情報整理になってしまいます。
マップを手描きすることで町の構成を再確認し、歩いて得た情報の整理や定着をはかります。
おおまかなマップが描けたら、該当する場所に写真を貼ります。写真の数に制限はありませんが、コメントを記入する場所などを考慮すると10枚程度が適切です。
写真には、その場所が危険(安全)な理由を、ふたつのキーワードを使って説明するコメントを記入します。
地域安全マップの核となるのが、写真とコメントです。地域安全マップづくりに参加していない大人や他の班の子どもでも、写真とコメントでその場所が危険(安全)だと理解できるように工夫します。
コメントは付箋や色紙などに記入して貼り付けると効率的です。
個人情報やプライバシーへの配慮は、ここでも必要です。写真に人物や車のナンバープレート、表札などが写っていたら、マジックで塗りつぶします。
班のメンバーが写った写真は使用しません。
メンバーの家に限らず、誰かの家が確定できるような情報を記入してはいけません。
「地域安全マップ」であることが分かるように、タイトルを入れます。見て楽しいと感じられるように、マップに色を塗ったり色紙を貼って装飾します。
動物や車や施設などの挿絵も、自由に書き込みます。異なる年齢の子どもたちで構成される班の場合、年齢の低い子が活躍する場面になります。
マップ作成は、自分たちで見て聞いて発見した情報や経験を、楽しみながら記憶に定着させる作業です。
作成した地域安全マップをより多くの人に見てもらえると、地域の安全意識が高まることを説明します。
飾りつけは、多くの人に見てもらえるようにする楽しい工夫です。地域への貢献感によって創作意欲を掻き立てて、全員でマップを完成させます。
作成した班の名前は記入しますが、個人名は記入しません。
マップ作成の段階で、場所ではなく人に注目した情報が紛れ込んでくることがあります。
人に注目する情報が紛れ込むと、犯罪原因論に引きずられた間違ったマップになってしまいます。
特に多いのが、過去に犯罪が発生した地点の記入です。
地域安全マップでは、過去に犯罪が起きたかどうかを問わずに景色を見ます。防犯看板などで過去に犯罪が起きたことが明らかな場所では、「入りやすい」「見えにくい」というキーワードを使ってその場所を見るように指導します。
恐らく犯罪者が好む条件がそこにはあります。過去に犯罪があったから危険なのではなく、入りやすい、見えにくい場所だから危険であることに気づかせます。
不審者情報が入り込んでくることもあります。
不審者が子どもにつきまといや声がけをした場所が記入されていたら、それは犯罪発生個所と同じく人に注目する情報です。不良が集まる場所とかホームレスが住んでいる場所という情報も、人に注目する情報です。
地域安全マップでは、「入りやすい」「見えにくい」というキーワードをモノサシとしてその場所を測ります。
このふたつのキーワードは、繁華街や住宅街、都市や郊外などの場所を問わずに有効に使うことができます。